あなたは、「スタンフォード監獄実験」という有名な心理実験をご存じでしょうか?
アメリカの心理学者であるフィリップ・ジンバルドーという人物によって、1971年8月に行われた心理実験です。
-スタンフォード監獄実験-
新聞広告などで集めた普通の大学生などの70人から選ばれた心身ともに健康な21人の被験者の内、11人を看守役に、10人を受刑者役にグループ分けし、それぞれの役割を実際の刑務所に近い設備を作って演じさせた。その結果、時間が経つに連れ、看守役の被験者はより看守らしく、受刑者役の被験者はより受刑者らしい行動をとるようになるということが証明された
引用:ウィキペディア
簡単に言うと、「役割を与えられた人は、次第にその役割による影響を受ける」というものです。
引用文にもあるとおり、学生を看守役と囚人役に分けたところ、看守役の学生は囚人役の学生に対して自ら罰則を与え始め、ついには禁止されていた暴力も開始したのです。
最終的には実験中止になるほど、危険な実験だったと記録が残されています。
しかし、この実験から「人は与えられたポジションに強い影響を受ける」ことが証明されました。
人格は与えられたポジションによって変化する
学生、教師、親、子供、上司、部下…など、人にはそれぞれ属するポジション(地位)というものがあります。
それぞれのポジションには決められた役割があり、例えば親は子供を褒めたり叱ったりするポジション、子供は親の加護を受けて勉強したり遊んだりするポジション、といった感じです。
僕たちはみな最初は子供から始まり、誰から言われることなく「子供らしい振る舞い」を自らしてきたと思います。
小さい頃なんて、人前で親に抱っこされるなんて別に恥ずかしいと思っていなかったし、寧ろそれが当たり前だと感じていましたよね。
大きくなって抱っこから卒業しても、「子供というポジションならではの思考・行動」をしてきたと思います。部活が終わった後、駅まで親に迎えに来てもらうのは当たり前…みたいな。
それで、親は親で、『子供の前でみっともない姿を見せるわけにはいかない』とか『子供のために人生アドバイスをする』というように親ならではの思考・行動をします。
親というポジションなのに、子供から人生アドバイスを受けたり無償の愛を受けたりなんてことはあまり考えられないですよね。逆もまた然り。
つまり、僕たちは知らず知らずのうちに、ポジションによる影響を強く受けているのです。
パパに抱っこされるのが当たり前だと感じている子供の人格、親たるもの子供を一人前に育てなければならないというお父さんの人格。
みな、ポジションの影響に人格が決定付けられていると言えます。
属するグループの中にもポジションは存在する
属しているグループの中にも、ポジションは常に存在します。
例えば5人グループの場合、よく喋る人やあまり喋らない人がいるとしたら、それも各々のポジショニングです。
よく喋るというポジションにいるAさん、あまり会話に参加しないというポジションにいるBさん、といった感じです。
メンバーが『Aはよく喋る活発的なキャラだ』と認識すれば、Aもその役割に適するよう演じ、Bは寡黙なキャラを演じます。
グループが変わるとお喋りなBでも、この5人グループの中では「あまり喋らないクールなキャラ」というポジションを演じるのです。
必ずそうとは限らないですが、スタンフォード監獄実験により証明された人間の心理は、非常に興味深いですね。
自分の今のポジションを見つめ直そう
もし、『自分はこんなキャラじゃない』と薄々感じているのだとしたら。
一度、今の自分の置かれている立場を見直してみると良いかもしれません。
心理的なものの特徴として、「自覚がない」が挙げられます。
バイアスなどの心理もそうですけど、知らずのうちにそうなっていたというケースは結構あります。
自覚がない分改善が難しいので、まずは“気付く”ということが大切です。
『俺は上司というポジションに影響を受けていたから、出世したとたん気が大きくなって大柄な態度を取るようになってたんだ』など、見つめ直すことで気付くことってあると思います。
もしポジションによる人格影響が悪い方に出てしまっているのだとしたら、修正していくことも可能ですよね。
貧乏というポジションにいるから、いつまでも貧乏…みたいなことも割とあり得る話です。
是非、今の自分のポジションを見つめ直してみて下さい。
それでは、今回はこの辺で。
ありがとうございました。
チャオ(・∀・)!
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